artscapeレビュー

小沢さかえ「珠玉のポエジー」

2009年06月15日号

会期:2009/05/31~2009/07/05

MORI YU GALLERY[京都府]

小沢さかえの新作展。物語に満ちたモチーフやそのイメージ、画面からうかがえる筆跡の表情には力強い魅力があって、ぐいぐいとその世界に惹きつけられていく。一番の最新作は、以前の作品よりも光の描写の彩度が高く、解放感に溢れて清々しい。しかしながらそれだけでなく、小沢の作品にはいつも共通してどこかに「私」という存在への追究と苦悩がうかがえる。無意識と意識の間にある闇のような、暗さを抱えた印象もまた彼女の作品の魅力だと思う。複雑で繊細な心の襞をいきいきと描いている今展、まさに珠玉だった。

来年1月には、国立国際美術館で開催される「国立国際美術館新築移転5周年記念 現代日本の絵画(仮称)」への出品も決まっている。少し先だがこちらにも期待が膨らむ。
国立国際美術館新築移転5周年記念 現代日本の絵画(仮称)
会期:2010年1月16日(土)~4月4日(日)
会場:国立国際美術館

2009/05/31(酒井千穂)

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