2022年10月01日号
次回10月17日更新予定

artscapeレビュー

ラボ20 #21

2009年07月01日号

会期:2009/06/20~2009/06/21

ST spot[神奈川県]

1997年に始まり今回で21回目となる「ラボ20」は、毎回キュレーターを置き、10分程度の作品が審査を受け、そこから選ばれた若手作家がキュレーターからアドバイスを受けながら、20分ほどの本番の作品を仕上げてゆくという企画(「ラボ20」とはこの20分の作品時間を指す)。新人育成機能を果たしてきたこのイベントから羽ばたいていった作家は多い。ニブロール矢内原美邦)、康本雅子快快大橋可也&ダンサーズ……。今回のキュレーター手塚夏子も「ラボ」出身。彼女が出演した回では、ボクデスの小浜正寛もいた。
今回出演は5組。辻田暁、下司尚実、柴田恵美、井上大輔、石田陽介+松原東洋。非常に丁寧に自分独自の運動(ダンス)を模索する、そのさまは共通していて、安易な受け狙いではないところは感銘を受ける。けれど逆に言えば、そうした点以外では評価しにくい作品ばかりだった。物語性は希薄で、展開を求めず、故にミニマルで、独自の動きの動機(ルール)を設定しようする点も共通で、その傾向は問題ないのだけれど、そのルールをある程度わかりやすいかたちで観客に共有できるようにしなければ、観客はただの傍観者になるしかない。石田と松原の「二人は雲の中」は、タイトルの印象と異なり、〈キスとかの濃厚な接触をしそうになる二人がどうにかそうしないで時間を進ませる〉というルールが明確で、他の四作品よりも見る側はアクセスしやすかった。とはいえ、二人がキスするかどうかなど、正直観客にとってどうでもいい事項。わくわくする作品はなかった。そのぶん、こうした新人公演の意味について考えさせられた。
一定の水準には達していないとしても、発信したいという欲求をもてあましているひとは多い。その受け皿として、美術のGEISAIにあたる無審査のイベントがダンス、パフォーマンスの分野にあってもいいのかも知れない。「ラボ」よりももっと気楽な、5分から10分くらいの作品を立て続けに上演する、ゴングショー的な公演。そこでもやはり観客は蚊帳の外に立たされるのかも知れないが。
ラボ20 #21:http://stspot.jp/finished/lab20-21.html

2009/06/20(木村覚)

2009年07月01日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ