2022年10月01日号
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artscapeレビュー

有賀慎吾 長谷川翔『接続解除』

2009年07月01日号

会期:2009/06/03~2009/06/14

Art Center Ongoing[東京都]

有賀慎吾と長谷川翔による二人展。いかにも若者らしい、ぶっ飛んだ作品を発表していた。2階の会場に上がろうとしたら、階段がフラットな急坂に作り変えられていた。なかなか生意気なことやるじゃねえか、この野郎、と嬉しくなりながら苦労して2階にたどり着くと、暗闇の中に水が流れる音。よく見ると、床の大半が低いプールで占められていて、その脇にはさらに噴水まである。プールの上にはタグボートのような小船が浮かんでいて、その上に乗ることもできるが、衝撃的だったのはこのタグボートがワイヤーで自動的に引っ張り上げられ、一回転して裏側に反転するところ。まったくもって無意味な運動だけれど、噴水の音とワイヤーが巻き上げられる轟音を耳にしながら見ていると、なにやら不穏な感覚がふつふつと湧き上がってくる。改めて空間を見渡してみると、全体的に黒と黄色で統一されているせいか、「立入禁止」の意味合いが強く伝わってくる。本来は進入してはいけないところに立ち入ってしまったということなのだろう。プールは見ようによっては水路のようでもあるから、ここは地下水道の世界としても考えられるけれど、壁面に貼られたドローイングは身体の内部器官を描いていたから、むしろ身体の内部世界として想定されているのかもしれない。けれども、それは子宮のような安息の場所などではなく、その暗部、実在しないにせよ、ネガティヴな体内起源として想像された場所ではないだろうか。ミクロコスモスの暗い空間を徹底的に作り上げた手腕がすばらしい。

2009/06/14(日)(福住廉)

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