artscapeレビュー
堂島リバービエンナーレ2009「リフレクション:アートに見る世界の今」
2009年09月01日号
会期:2009/08/08~2009/09/06
堂島リバーフォーラム[大阪府]
南條史生をアートディレクターに迎え、彼が手がけた2006年と2008年のシンガポール・ビエンナーレの出品作のなかから、政治的・社会的メッセージ性の濃い作品26点を選んで構成された。キリスト教とイスラム教の衝突をテーマにしたトマス・オチョアや、パレスチナ問題への抗議を過激に訴えたスーハ・ショーマンなど、映像作品が多数を占めており、照明・音響機材に恵まれた会場の特性を生かしたハイクオリティな展示が印象的だった。こと映像作品に関しては、既存の美術館より優れた展示だったと思う。日本ではなかなか見られないハードエッジな作品が多数を占めていたが、こうした作品群がもっと頻繁に紹介されるべきだ。内向き、ナイーブ、草食系、オタク……、知らぬ間にそんな作品ばかりに囲まれていたぬるい自分を実感した。
2009/08/07(金)(小吹隆文)