artscapeレビュー
山下耕平 展─ケルン・現在位置─
2009年09月01日号
会期:2009/07/16~2009/08/22
INAXギャラリー2[東京都]
アウトドアとアートを融合させるという山下耕平の個展。登山をモチーフとした平面作品や立体作品を発表した。黒い背景にカラフルな図像が置かれた絵はひと目で山登りの場面が描かれていることがわかるが、よく見ると、それらは色とりどりの丸い円で構成されており、さらによく見ると、大半が既存のイメージを寄せ集めたコラージュであることに気づかされる。巨視的に見れば、セル状に集合した円は、黒を背景にしているせいか、宇宙論的なイメージを強く感じさせるが、微視的に見れば、既成の図像が醸し出す世俗的なイメージが喚起される。神話的に語られるか、もしくはレジャーとして楽しまれる登山のステレオタイプにたいして、両者がせめぎあう現場として山を描いているのだろう。
2009/07/29(水)(福住廉)