artscapeレビュー
横山裕一 ネオ漫画の全記録:「わたしは時間を描いている」
2010年07月01日号
会期:2010/04/24~2010/06/20
川崎市市民ミュージアム[神奈川県]
漫画家・横山裕一の大規模な回顧展。腰の高さの台に漫画を並べ、それらを連結してトラック競技場のように一周させるというインスタレーションを見せた。漫画を読み進めていくうちにいつのまにかトラックを一周しているという仕掛けだ。永劫回帰的な時間構造を反映させたのかもしれない。その漫画は、登場人物たちが無言のまま、ただ物語が無目的に進行していく「ネオ漫画」。フキダシのなかの台詞とともに読むことに慣れた目には抵抗が少なくないが、それでもオノマトペが次第に過剰になり、ついには登場人物を後景に隠してしまうほど極端に巨大化するなど、視点を変えれば、おもしろい。漫画という形式への鋭い自覚と脱構築する意欲。そこから生まれる「ネオ漫画」が、漫画に成り代わろうとするのか、あるいはサブ・カテゴリーとして持続していくのか。
2010/06/05(土)(福住廉)
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