2021年12月01日号
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artscapeレビュー

ロトチェンコ+ステパーノワ ロシア構成主義のまなざし

2010年07月01日号

会期:2010/04/24~2010/06/20

東京都庭園美術館[東京都]

ロシア構成主義のロトチェンコとステパーノワによる作品約170点を見せる展覧会。ドローイングやタブロー、建築、グラフィックデザイン、演劇、写真など多方面にわたる作品を見ていくと、社会建設のなかで芸術の力を発揮させようとする意欲がたしかに伝わってくる。とりわけ写真は当時の社会建設の様子とロトチェンコの実験精神を同時に物語っており、興味深かった。けれども、たとえば労働者が労働の疲れを癒すためにつくられたという「労働者クラブ」は直線と直角で構成されており、はたしてこのようなデザインで心身ともにリラックスできるのか、大いに疑問が残る。生産のための労働はともかく、それ以外の時間はダラダラと過ごしたいのが人間の性というものだ。理念を追究するあまり人間の現実から離れしてしまったというところに、社会建設という壮大な実験の失敗があるように思われた。

2010/06/16(水)(福住廉)

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