artscapeレビュー

プレビュー:吾妻橋ダンスクロッシング

2010年07月01日号

会期:2010/07/16~2010/07/18

アサヒ・アートスクエア[東京都]

今月推薦する公演は吾妻橋ダンスクロッシング。桜井圭介のライフワークともいうべきこのイベントは、いつの間にか「ダンス」の概念が極端に拡張され、とうとう遠藤一郎の出演という事態にまで至っています。こんなこと、一年前にいったい誰が予想できたでしょうか?! クロスジャンルのアーティストたちがパフォーマンスする「吾妻橋」的企画はここ2、3年で急速に増えましたし、観客の受容の仕方もジャンルレスに「面白ければジャンルはとくに関係なし」といった様子で益々どん欲になっていると感じる昨今です。この大きなストリームに身を委ねる最良の機会に間違いありません。お祭り的な要素も濃い企画ですが、ここは一発芸的な力業ではなく、小さくてもきらりと光るアイデアをアーティストたちには競ってもらいたいものです。はたして、チェルフィッチュの後に見る遠藤一郎、Off-Nibrollの後に見る宇治野宗輝はどんなふうに見る者に映るのか! 想像するだけでわくわくします(実際の順番はいまのところ定かではありません)。ちなみに、7/10には、本イベントがプロデュースしているSNACにて「2人が見ている未来の美術」というトークイベントが開催されます。木村が聞き手となり、高橋瑞木さん(水戸芸術館学芸員)と伊藤悠さん(island代表)という2人の学芸員/ギャラリストをお招きして、日本の美術の現状と未来の美術の行方などについてお2人が「見ている」ところをお聞きする予定です。2人の共通項はもちろん遠藤一郎。だからこのイベントは、今回の吾妻橋ダンスクロッシングの予習を兼ねた関連企画でもあります。こちらもふるってご来場ください。

2010/06/30(水)(木村覚)

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