2017年12月15日号
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artscapeレビュー

チョイ・カファイ『ノーション:ダンス・フィクション』

2011年12月01日号

会期:2011/011/07~2011/11/08

シアターグリーン BOX in BOX THEATER[東京都]

シンガポール出身のマルチ・クリエイター、チョイ・カファイによる、工学的デモンストレーションにしてパフォーマンス作品。筋肉の動きを、電極を介してデータ化し、データをダンサーに「インプラント」するというチョイ・カファイのアイディアは、プレゼンテーションを聞いているだけでもわくわくさせると同時に「眉唾」な気持ちにもさせられる。とりわけ、デモンストレーターとして参加している北欧のダンサーが電極を体中に付けて、その刺激によって20世紀の代表的なダンスを踊るという場面に「そんなことができたらすごいことだ」と思わされてしまうのだけれど、デモンストレーターの踊りが、電極によって踊らされているのか、自分で踊ってしまっているのかが判然とせず(いや、明らかに後者に見えてしまい)、信用がもてない(タイトルに「フィクション」とあるのだから、弁解ずみと見るべきか)。それでも、パフォーマンスとして面白く見てしまったのは、そもそも「科学」と「奇術」は近接していたはずだし、19世紀から20世紀にかけて娯楽の殿堂ではしばしば、ダンサーを介した科学的奇術が行なわれていたわけで、そんないにしえのショーを思い起こさせられたからだ。いや、こうしたシステムが実現する未来はそう遠くないのかもしれない。「そのときダンスは一体どうなるのだろう」などと空想を喚起する力こそ本作の魅力のはずで、科学は奇術だったと嘆息させられたというよりは、奇術が科学になる可能性を垣間見せられたパフォーマンスだった。

ノーション:ダンス・フィクション

2011/11/07(月)(木村覚)

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