2018年10月15日号
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artscapeレビュー

長野訓子作品展

2015年06月01日号

会期:2015/05/18~2015/05/26

The14th moon LIMITED[大阪府]

刺繍家、長野訓子の個展。出品作は、オリジナルのアクセサリー・ブランド「ga.la」のネックレスやイヤリング、ブローチなどの新作をはじめ、大塚呉服店とのコラボレーションによる帯、インセンスショップ・リスンとのコラボレーション・ワーク、新宿伊勢丹のカタログ撮影のための作品など勢いのある近作が揃っている。
刺繍というからには、作品の大部分は糸と布でできている。柔らかく、優しく、あたたかみのある素材だが、機械刺繍を用いる長野の作品からは明快でシャープな印象をうける。例えば、アクセサリーは青、黒、黄色、ベージュ、グレー、白という引き締まった彩りで女性的というよりはむしろ中性的である。オーガンジーに上下左右相似形の模様を刺繍した作品は、糸で綴った模様をガラス板に挟んで額装したというたいへん繊細なものだが、どこか金属細工のような趣がある。また、インセンスショップ・リスンとのコラボレーション・ワーク「Dream and Color」という幻想的なテーマの連作のなかで、本展に出品された作品は大きなもので1メートルもあろうかという赤い布の花々を吊って濃密な空間をつくりだしたもので、刺繍布のおおらかでのびのびした一面を提示している。
機械刺繍に特有の均質さや硬質さを魅力的に見せる、その作風が多様なコラボレーションを可能にしているのだと思う。同時にある程度の量産ができることで、作品でありながら製品でもありうる。だからこそ、アクセサリーや衣服として、額装された平面作品として、そしてショップの空間ディスプレイとして、あらゆる場面に入り込んでいくことができるのだと思う。もちろん、それ以前に創造力という作家のエネルギーがあってのことではあるが。[平光睦子]


展示風景


2015/05/19(火)(SYNK)

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