2017年12月15日号
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artscapeレビュー

進藤環「漂泊の地」

2015年12月15日号

会期:2015/10/31~2015/11/28

ギャラリー・アートアンリミテッド[東京都]

昨年(2014年)にはギャラリー・アートアンリミテッドでの個展と東京綜合写真専門学校での公開制作、今年は「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」への参加と、充実した活動を展開している進藤環。本展でも、新たな領域に挑戦しようという意欲が充分に伝わってきた。
今回の新作を見て感じるのは、彼女が用いている、自分で撮影した風景をプリントし、切り貼りしていくコラージュという手法があまり目立たなくなってきていることだ。以前の作品では、パースペクティブの歪みやイメージ相互のズレを意図的に残すことで、「ありえない風景」を作り上げていたのだが、新作では、一見普通に撮影されたように見えるものも多い。画面の細部へ細部へと視線が分裂していくよりも、どちらかといえば風景全体の統合性が強まっており、観客を包み込み、一体化するような雰囲気が強まっている。この変化は、むしろポジティブに捉えるべきだろう。
もうひとつは、特定の地域性へのこだわりである。今回展示された作品は、広島県大久野島、長崎壱岐島、愛媛県別子銅山、東京都八丈島などで撮影されている。以前はそれぞれの撮影場所の固有性は、作品の中にほとんどあらわれてこなかったのだが、今回は明らかにそのことが意識されている。それをもう少し強めていけば、それらの土地に根ざした「サーガ」としても成立していくのではないだろうか。進藤は今年から九州産業大学芸術学部写真・映像・メディア学科の専任講師となり、福岡に居を移した。そのことが、作品制作にもいい影響を及ぼしているのではないかと思う。

2015/11/04(水)(飯沢耕太郎)

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