2017年12月15日号
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artscapeレビュー

成田克彦──1973-1992 実験の続き

2015年12月15日号

会期:2015/10/26~2015/11/20

東京造形大学附属美術館[東京都]

成田克彦(1944-1992)を知ってる人はどれだけいるだろう。名前と、「もの派」の作家、「炭」の作品くらいは知ってても、それ以降の活動を知ってる人はごくわずかしかいないのではないか。ここには代表作《SUMI》も出ているが、たった1点、しかもプロトタイプというべき小さなキューブのみ。残りの約30点はそれ以降の作品だから、同展の狙いは「炭の成田」像をいちど解体し、その後の作品展開から彼のやろうとしたことを浮かび上がらせることだといえる。70年代には関根伸夫や菅木志雄もやった位相幾何学的なレリーフ状の作品を制作。80年代に入ると帆布を丸めたり、板を棚状につけて彩色したり、丸太に帆布を巻いたり、木の幹をコラージュしたタブローに赤い帯を巻いたり、実にさまざまな、そして奇妙な形態の作品を発表するが、もっと奇妙なのは、すべての作品にウサギの毛がとりつけられていることだ。これらの作品がいったいなんなのか、どういうつながりがあるのかよくわからないけれど、この数センチの黒い毛に関してはたぶんだれもが陰毛を想起するに違いない。成田さんはいったいなにを考えていたのか。ひょっとしたら、従来の作品解釈のような作品相互のつながりや美術史への参照を通して理解するのではない、もっとまったく別の価値基準でなにかをつくろうとしていたのではないか、と思ったりもする。でもその一方で、単に失敗作を連発していたのではとの疑念もぬぐえないが。いずれにせよ志なかばで亡くなったことは間違いない。

2015/11/02(月)(村田真)

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