2017年08月01日号
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artscapeレビュー

村上隆の五百羅漢図展

2015年12月15日号

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会期:2015/10/31~2016/03/06

森美術館[東京都]

これはスゴイ。もはやあきれるばかり。2012年にカタールで公開した全長100メートルの《五百羅漢図》をはじめとする超巨大な新作群。ここでは絵画も彫刻も4メートル、5メートルが標準サイズだ。その物量もさることながら、ピカピカの完成度にも舌を巻く。一見奔放なタッチに見えようとも、激しい絵具の滴りに見えようとも、表面はすべすべで本当にスーパーフラット。これはもはや絵画というより工芸品、というより工業製品の域に達している。ここまで来るともうだれにも真似できない、というかだれも真似しようとも思わないでしょうね。その《五百羅漢図》だが、基本は青龍、白虎、朱雀、玄武の4パートに分かれ、各25メートルの大画面に極彩色の聖人や怪物どもが跋扈している。これを制作するために全国の美大から集められたアシスタントは200人を超すという。ここまでケタはずれの巨大プロジェクトになるとマネジメントがきわめて重要になってくるが、別室の陳列ケースにはちゃんと日時やアシスタント名が記された進行表なども公開されていて役に立つ。「指示書どうりにヤレ! ボケ!」「ひでーなー」「低レベル……」などと書きなぐられた見本もあって、とても絵を描く環境とは思えない制作現場の空気を伝えてくれる。アートの現場はこうでなくちゃいけない、とは思わないが、ここまで緊張感を持って制作にのぞんでいるアーティストが果たしてどれだけいるだろうか、とは思う。学ぶべきことの多い展覧会である。

2015/11/04(水)(村田真)

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