2017年06月15日号
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artscapeレビュー

見世物大博覧会

2016年12月15日号

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会期:2016/09/08~2016/11/29

国立民族学博物館[大阪府]

関西旅行のメインディッシュはこれ、わざわざこれを見に関西まで来たのだ。なぜそんなに見世物に惹かれるのかというと、答えは簡単で、見世物というのは人の気を惹くようにつくられているからだ。でもぼくが惹かれるのはそれだけでなく、見世物は美術の隣接領域にあり、また美術と表裏の関係にもあるからだろう。つまり見世物のことを知ると、おのずと美術の輪郭も浮かび上がってくるような気がするのだ。展示は、見世物小屋を飾った絵看板をはじめ、曲芸、軽業、女相撲、人間ポンプなど出し物のチラシや道具や写真、籠や貝殻を使って人や動物の姿に似せる細工物、からくり人形、生人形、お化け人形、エレキテル、トラやワニの剥製、人魚のミイラ、明治初期の博覧会を描いた浮世絵、そして最後はなぜか寺山修司と天井桟敷の妖しげな世界の紹介で終わっている。こうしてみると、いまではスポーツ、演劇、パフォーマンス、工芸、科学、生物学、博覧会などに細分化されたジャンルが未分化のまま、スペクタクルな見世物として金を取って見られていたことがわかる。美術の隣接領域でいえば、絵看板、細工物、生人形などがあり、これらはいずれもモダンアートが切り捨ててきた胡散臭さやハリボテ感にあふれているが、じつはこうした胡散臭さこそが人を惹きつけてやまないフェロモンだったりするのだ。だからモダンアートが破綻して久しい現在、再びというか、胡散臭い見世物的アートがはびこっているのかもしれない。

2016/11/25(金)(村田真)

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