artscapeレビュー

MONSTER Exhibition 2017

2017年08月01日号

会期:2017/07/14~2017/07/18

渋谷ヒカリエ8 / COURT[東京都]

公募の審査を務めた「MONSTER展」のオープニング@ヒカリエ。今年は平面作品が多いこと、ノンジャンルだが、アート系が目立つ。ベタな怪物を表現した作品よりも、「monster」の語源にさかのぼり、その存在を予感させる西尾侑夏、hasaqui yamanobe、ATSUらの絵画が興味深い。ただ、本当の力作は立体の方にあって、慰霊の念を込めたアール・ブリュット的、チェンソーを駆使した荒々しい造形による山元町のしょうじこずえと、化ける女性に狐の相貌を与えた木彫の木村桃子が印象的だった。物語の妄想力という観点では、倉坪杏奈によるハイブリッド・ヒューマノイドのプレゼンテーション(?)はインパクトがあった。オープニング後の打ち上げでは、鳥山明で目覚めて、いまも続くドラゴン愛を多面的に語る女性(作家名はDRAGONIST)がいて、さすが「MONSTER展」の参加者だと感心させられた。もっとも、今回の応募作はそのパッションが足りず、昔の作品の方が熱量は大だった。

2017/07/13(木)(五十嵐太郎)

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