2018年06月15日号
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artscapeレビュー

KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2017 池田亮司×Eklekto『music for percussion』

2017年11月15日号

会期:2017/10/24

ロームシアター京都 サウスホール[京都府]

KYOTO EXPERIMENTには4度目の登場となる池田亮司。過去3回の参加では、巨大スクリーンで電子音と映像が饗宴するオーディオビジュアル作品の上演や、過去約15年分のコンサートピースの一挙上演などが行なわれてきた。これまでの電子音楽やデジタル技術の駆使とは打って変わり、今回は、スイスのジュネーヴの打楽器アンサンブル「Eklekto」を起用。4人のパーカッション奏者による「完全アコースティック」なコンサートが発表された。
4部構成の本作は、それぞれ2人のパーカッショニストによる手拍子、トライアングル、アンティークシンバルをバイオリンの弓で演奏する楽曲が続いたのち、ラストでは4人の奏者がフォーメーションを変えながら計12台のシンバルを演奏する。いずれの楽曲も、ミニマルで規則的なリズムの反復と微細な変化が、完全な同期とわずかな差異とのあいだを往還し、ズレの増幅が複雑なパターンを出現させていく。あるいは、可聴域に届くか届かないかの超高音が、極めて繊細にコントロールされた手つきによって発せられる。アコースティックながらも、電子音楽を聴いているような聴覚体験。数学的に統制された、入力→出力の完全な制御。それは、「生身の奏者による楽器演奏をコンピュータのように精密にプログラムできるのか」という実験であり、ここで露呈しているのは、あるプログラムの正確な実行を入力された身体のふるまいであり、すなわち「振付」の問題へと接近する。音楽からエモーショナルな要素を削ぎ落とすことで、パーカッショニストたちは、池田によって厳密に振付られた身体のふるまいを「楽器の演奏」というかたちで遂行していた。


池田亮司×Eklekto『music for percussion』2017 ロームシアター京都 撮影:浅野豪

公式サイト:https://kyoto-ex.jp

2017/10/24(火)(高嶋慈)

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