2019年04月15日号
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artscapeレビュー

Under35

2013年05月01日号

会期:2013/03/22~2013/04/14

BankART Studio NYK[神奈川県]

35歳以下の若手アーティストを対象としたBankART 1929の恒例企画。3回目となる今回の特徴は、アーティストとギャラリーないしはマネージャーをひとつのチームとみなして公募したこと。そうして選出された6組が、同一会場で同時に個展を催した。
際立っていたのは、丸山純子+大友恵理と幸田千依+橋本誠。両アーティストは共に他に類例を見ない作風をすでに確立しているが、今回の個展ではそれをそれぞれ着実に深化させていることを証明した。
丸山は、これまでスーパーの袋でつくった花でインスタレーションを構成したり、洗濯用の粉石けんで大地に巨大な花の絵を描いたり、ダイナミックな形式によって繊細な感性を巧みに造形化してきたが、今回もその手腕は存分に発揮されていた。コンクリートがむき出しの空間にあったのは、二艘の木造船。床には、粉石けんで描かれた無数の花が描かれているから、白い花の海を舟が漂っているようにも見える。あるいは、二艘の舟はともに会場の外にある海に向けられていたから、白い砂浜で出航を待っているのかもしれない。廃材を組み合わせた舟が醸し出す寂寥感と、誰かに踏まれてかたちを崩した花から滲み出る無常感が、広大な展示空間のなかに充満しており、私たちの詩的な想像力に強く働きかけてきたのである。
一方、幸田千依が主に描いているのは、夏のプール。これまでの代表作を滞在制作した場所ごとにまとめて展示するとともに、新作を展示場所で制作し発表した。俯瞰で描かれたプールの中には、子どもたちが水遊びに興じているが、一人ひとりの顔の表情までは細かく描写しているわけではない。にもかかわらず、あの時あの場の高揚感がひしひしと伝わってくるのは、鮮やかな青色を塗り分けた水面に描かれるさまざまな波紋が、あの熱気を代弁しているように見えるからだろう。同心円状にきれいに広がる波紋があれば、直線状に尾を引く波紋もある。それらが互いに交錯し、新たな波紋を生みながら、全体的には大きなうねりを見せている。複雑に揺れ動く波紋そのものが、すべてを物語っているように感じられた。

2013/04/12(金)(福住廉)

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