artscapeレビュー

Will Eisner: Father of the Graphic Novel(ウィル・アイズナー──グラフィック・ノベルの父)

2013年09月01日号

会期:2013/07/27~2013/11/10

カートゥーン・アート・ミュージアム[サンフランシスコ]

ウィル・アイズナー(Will Eisner, 1917-2005)は米国・ニューヨーク市生まれの漫画家。私たちには馴染のない名前だが、アメリカ・コミック史においてはもっとも重要な人物の一人として考えられている。サンフランシスコ市内にあるカートゥーン・アート・ミュージアムで彼の回顧展が行なわれていたので、訪ねてみた。サブタイトルにある「グラフィック・ノベル(Graphic Novel)」とは、複雑なストーリーの、大人向けのアメリカン・コミックを指すようだが、少々曖昧な定義で、ほかのコミックや漫画との違いはつかみ難いところもある。ただ、「グラフィック・ノベル」というジャンルは、ウィル・アイズナーが設立したスタジオと作品シリーズによって確立されたというのが定説。「グラフィック・ノベルの父」というサブタイトルとおりだ。展示はアイズナーの代表作の原画をいくつか紹介するもので、思ったより小規模だった。彼の作品は鋭いペンのタッチと、ブラックユーモア、ときには哀愁溢れるストーリーが絶妙に相まってアメリカ社会、ひいては現代社会を鋭く風刺していた。時が経ても、国が変わっても人間の日常や悩みは変わらない気がした。[金相美]


カートゥーン・アート・ミュージアム外観


展示風景


展示風景


展示作品

2013/08/13(火)(SYNK)

2013年09月01日号の
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