artscapeレビュー
ミュシャ──くらしを彩るアール・ヌーヴォー
2013年09月01日号
会期:2013/07/13~2013/09/01
大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)[大阪府]
19世紀末から20世紀初頭にかけてのパリで活躍した、アルフォンス・ミュシャの作品を通して、都市生活におけるアール・ヌーヴォーの拡がりについて紹介する展覧会。ポスター等のグラフィック作品だけでなく、彼のパッケージデザインによる菓子の缶や、ポストカード・切手・紙幣・絵皿などの日用品が展示されている。さらに、当時流通した立体物の例(机、ファブリック製品・金属製品等)も見ることができる。エミール・ガレによる木製小椅子から、日本の建築家/武田五一による木製花台・安楽椅子・花瓶まで、日本におけるアール・ヌーヴォーの作例まで展観される。パリ時代のミュシャの製作基盤は、大量に消費される品々にある。本展を通して、大衆の生活に寄り添うデザインを見るならば、ベル・エポックの時代にアール・ヌーヴォー芸術が暮らしのなかに浸透していった様子を、いきいきと読み返すことができるだろう。[竹内有子]
2013/08/12(月)(SYNK)