artscapeレビュー
紙とグラフィックデザイン──八木保の選択眼
2013年09月01日号
会期:2013/07/10~2013/08/30
見本帖本店[東京都]
1984年にアパレルメーカー・エスプリ(ESPRIT)の仕事のために渡米して以来、ロサンゼルスを拠点に活動しているグラフィックデザイナー・八木保。7年以上にわたってエスプリのディレクターを務めた後、1991年に独立。ベネトンの香水瓶TRIBUのデザインは、19994年のクリオ・アワードを受賞。アップルストアのデザインコンセプトや携帯端末パームのパッケージデザイン、日本ではアパレルブランドUNTITLEDのデザインコンセプト、INDIVIのロゴなどの仕事を手掛けている。今回の展覧会では、2011年に刊行された『八木保の選択眼──The Graphic Eye of Tamotsu Yagi』(ADP、2011)をベースに、彼の仕事、そして紙を中心にデザインのイメージソースとなったさまざまなオブジェが紹介されている。ロール紙に連続出力した書籍『八木保の選択眼』を展示台にしつらえ、書籍に掲載されたオブジェや製品、パッケージの実物、本人によるコメントが配置されている。クライアントへのプレゼンテーションのためのカラー・サンプル(色見本ではなく、植物の葉や卵の殻など!)、倉俣史朗による椅子のスケッチ(倉俣が気に入らなくて捨てたものをもらったという)、倉俣が手がけたバー・オブローモフで使われていたテーブルの脚(!)、ボディウェアメーカー・ダンスキンのためのワイヤーマネキン、請求書などの封筒の「内側」のコレクション、バスチケットなどの紙モノのコレクション等々が、八木保の人と仕事とを雄弁に語っていた。[新川徳彦]
2013/08/29(木)(SYNK)