artscapeレビュー

柏木博+松葉一清『デザイン/近代建築史──1851年から現代まで』

2013年09月01日号

発行所:鹿島出版会

発行日:2013年3月

発行日:2013年3月
発行所:鹿島出版会
価格:2,500円(税別)
サイズ:A5判、182ページ

「デザイン史」と「建築史」というふたつの領域を関連付けて解説した新しい試みの一冊。各章にそれぞれの「時代概要」が年表付きでまとめられた後、「デザイン編」と「建築編」の二領域の編年体の歴史が綴られる。1850年代から現在まで、ほぼ20年毎に区切った章立てとなっており、著者たちが設定したテーマとトピックは既存のデザイン史概論書とは異なる切り口を採用している。前書きにあるように、「デザイン史は社会思想史」を、「建築史は都市構築と都市文化の動向」を踏まえて書かれているからだ。例えば、1960年代から現代までを扱う第6章は、「モダンデザインの変質と脱近代」と題された時代概要をはじめとして、デザイン編では「異議申し立てを超えて」、建築編では、「建築本来の価値体系への回帰を目指すポスト・モダン」というように、「近代への問い」へと踏み込んだ内容となっている。掲載図版が大きく視覚資料が充実しているし、学習用の配慮がさまざまになされている。芸術史を学ぶ者にとって、新たな教本・副読本として活躍しそうだ。[竹内有子]

2013/08/10(土)(SYNK)

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