artscapeレビュー
古巻和芳 展 絹の国の母たち
2013年09月01日号
会期:2013/07/10~2013/07/28
ギャラリーあしやシューレ[兵庫県]
「越後妻有アートトリエンナーレ」の作品制作で、2005年から新潟県十日町の蓬平という集落に通い続けている古巻和芳。彼が同地の老人たちから取材した生糸や絹にまつわるエピソードと、実家が呉服屋を営む彼自身の記憶が融合して、本展の作品は生まれた。今から50年以上前に自分が育てた繭から取った糸で自らの花嫁衣装を作った女性からその衣装を借り、長さ4メートルの生糸の束と共に展示したインスタレーション、絹糸をまとった木製トルソ、古巻呉服店の在庫の着物や反物を撮影し、白生地に投影した映像作品、古い鏡台の薄型テレビを組み込み、着物姿の女性たちが髪をくしけずる・ほどく様子を映し出す映像作品など、作品はいずれも上質で、表現する必然性を感じさせるものばかり。彼の個展を見るのは久々だったが、やはり実力のある作家だと改めて感じた。
2013/07/27(土)(小吹隆文)