artscapeレビュー
素顔のブラジル展
2014年07月15日号
会期:2014/06/13~2014/09/15
無印良品有楽町2F ATELIER MUJI[東京都]
有楽町・無印良品の「素顔のブラジル」展は、膨大な写真と現地の小物のディスプレイによって、生活と日常のデザインを紹介する。展示台や天井の布などの会場デザインは、CAt+安東陽子らが担当し、ぐにゃぐにゃしたフォルムのテーブルは、オスカー・ニーマイヤーが関わったイビラプエラ公園内のかたちを縮小したものだ。関連企画のトーク「ブラジルの引力アート、デザイン、建築、都市」を、ちょうどブラジル特集を刊行した『カーサ・ブルータス』の編集者、白井良邦と行う。筆者と彼の組み合わせは、東京国立近代美術館の「ブラジル:ボディ・ノスタルジア」展(2004年)のブラジリアをめぐるトーク以来だから、10年ぶりになる。今回、ブラジルの社会・建築・芸術の流れをまとめたが、1936年からの教育保健省は重要なプロジェクトだったことがわかった。ルシオ・コスタがル・コルビュジエを招聘し、ニーマイヤーらが設計に関わったからである。これはモダニズムを伝統化し、「食人宣言」のように飲み込んだブラジル建築の近代の出発点と言える。
2014/06/23(月)(五十嵐太郎)