artscapeレビュー

見晴らす展

2014年07月15日号

会期:2014/05/30~2014/06/22

ポーラミュージアムアネックス[東京都]

サブタイトルは「日本のけしきを彫る人 田中圭介」。木の固まりから風景をジオラマ的に彫り出してる。わざわざ「日本のけしき」としているのは樹木が生い茂ってる風景だからだろう。ふつう木彫というのは森から切り出した角材を彫っていくのに、これは角材から森を彫り出していくところがふつうじゃない。ふつうじゃないのはほかにもあって、風景なのに縦長の角材や額縁みたいな木枠から彫り出したり、樹木だけでなく川や雲(や噴煙?)みたいな液体・気体まで彫ったりしてること。木彫のルーツ(森)をたどりつつその限界を突破しようという意志が感じられ、しかもそれをたしかな技術でわかりやすくかたちに表わしている。これは高得点。でも一歩間違えればつまらない工芸品に陥りかねない危うさもある。

2014/06/10(火)(村田真)

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