artscapeレビュー
おかざき乾じろ個展
2014年07月15日号
会期:2014/06/06~2014/06/15
ギャラリー nowaki[京都府]
「おかざき乾じろさんの個展が京都(近所)で開かれていますよ。」と京都在住の作家さんが知らせてくれて足を運んだ会場は、私は初めて訪ねるギャラリーだった。京都らしい古い町屋の佇まいの建物。普段は絵本作家の個展や陶芸の展示を行なっているのだそう。小説家の福永信さんが企画し、実現に至ったという今展、畳敷きの部屋の壁面に並んでいたのは箱で額装された「ポンチ絵」。ユルくかわいらしいらくがきのような絵が色鉛筆で描かれている。支持体は薄い方眼紙だが、無秩序に破かれた紙と描かれた対象が部分的に重なっているから全体は立体的でもあり、いろいろな角度から線や面を見ると意外な空間の広がりも感じられて面白い。いくつもの謎解きが潜んでいるのも感じるが、何かを探ろうと構えなくてもいい、気持ちのいい作品だった。
2014/06/14(土)(酒井千穂)