artscapeレビュー
佐藤翠 展「A June House」
2014年07月15日号
会期:2014/06/02~2014/07/04
第一生命南ギャラリー[東京都]
計9点の展示。正面の壁にはカーペットを描いた200号の大作が3点並び、1点はカーペットらしい装飾が施されているが、あと2点はほとんど抽象画。ほかに、壷、靴、皿などが並ぶ棚を描いた100号3点と80号1点、上に靴、下に服が並ぶクローゼットが1点。残る1点は異質で、S130号に花のある風景を描いているが、正方形のせいかクリムトを想起させる。気づくのは、花を除けば、カーペットも棚もクローゼットもすべてモチーフは矩形で、それを正面からとらえて画面にぴったし収めていること。つまりカーペットや棚の輪郭が画面の枠に一致しており、カーペットの柄や棚の内容がそのまま絵柄、絵の内容にスライドしているのだ。形式と内容の過不足のない一致、と書くと窮屈そうに聞こえるかもしれないが、佐藤の優れたところはそんな「不自由さ」を微塵も感じさせない点にある。
2014/06/17(火)(村田真)