artscapeレビュー

コレクションI

2014年07月15日号

会期:2014/05/24~2014/09/15

国立国際美術館[大阪府]

特別展『ノスタルジー&ファンタジー』もボリュームがあって楽しかったが、そのあとに見たコレクション展も充実していた。今回は、新収蔵作品との組み合わせによる、現代の作家の出品。フロアの一番奥、サイ・トゥオンブリー~李禹煥~内藤礼という、アブストラクトで心に沁み入ってくるような展開と流れはとても心地よく、白い部屋が光って見えた。
ここで見たような作家の作品は「無題」にも余韻がある。ここへ来て、特別展の小西紀行は全て《無題》だったことを思い出す(小西作品における「無題」はとても効果的)。作品リストに《無題》が並ぶのはなんともクール。小橋陽介のとても長いタイトル※との対比も面白いと、特別展を反芻しながら、上のカフェで喫茶をして、美術館を満喫した。

※《ぼくはヘレンケラー女史と同じ6月27日に父の弟夫婦の間に生まれて、横尾家に養子として迎えられた。養父母はぼくを橋の下で拾ってきたと言った。小さい頃から星空を仰ぎながらぼくはぼくの運命についていつも空想していた。そして星のように点滅するホタルに自分を譬えた。見えない守護霊と子の歳のネズミがぼくの長い航路の伴侶であることをぼくは知っている。》
岡崎乾二郎ばりのなんと169文字。タイトルだけでとってもノスタルジー。

2014/06/21(土)(松永大地)

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