artscapeレビュー
ミヤギフトシ「American Boyfriend: Bodies of Water」
2014年07月15日号
会期:2014/06/14~2014/07/13
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA Gallery A[京都府]
カーテンを開放していた展示室は、午後の光を充分にうけ、ある種のリゾート感をぐっと演出していた。照明も自然光だけに近い見せ方(だったと思う)でうす暗く、置いてある紙の箱やTシャツも、後から思い返してもどこかおぼろげだ。あそこに実物は本当にあったんだろうか。そもそもこのミヤギの取り組みも実態を求めてさまようような、鎮魂のような印象がある。(ものすごく良い意味での)徹底した広報戦略(東京の展示に至るまでの作品のプレゼンテーションとして友人から手紙が送られてきたかのようなDMづくりがあった)からのイメージづくり、それから本展での手紙、ファウンド・フォトという手法もそう。
ただひとつ、会場に黒板にメッセージを書いていく映像作品があったのだが、それだけどこか異質だった。チョークを走らせる作家とおぼしき人物の顔は見えない。カツカツと響くチョークの音と、テキストのヴィジョンが、今も幽霊のように頭に蘇る。
2014/07/01(火)(松永大地)