artscapeレビュー
ヴァロットン──冷たい炎の画家
2014年07月15日号
会期:2014/06/14~2014/09/23
三菱一号館美術館[東京都]
ヴァロットンは美術史の主流に躍り出ることはなかったけど、知る人ぞ知る、ある意味もっとも「おいしい」立場にいる画家かもしれない。その微妙な立ち位置や、一風変わった造形的センスは、同じスイスのホドラーやバルテュスとどこか似ている。この3人が今年日本で紹介されるというのも偶然ではないだろう。肖像画家から出発したという端正な人物画をはじめ、浮世絵の影響が指摘できそうな大胆な構図の風景画、ときおりマンガチックな木版画、古典的なのに斬新なヌード画まで、けっこう楽しむことができた。こういう埋もれかけた画家をもっと発掘してほしいものだ。
2014/06/17(火)(村田真)
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