artscapeレビュー

栗田咲子展 「雨の中の虹彩」

2014年07月15日号

会期:2014/06/16~2014/06/29

FUKUGAN GALLERY[大阪府]

2013年に東京で開催された栗田咲子の個展が大阪でも開かれた。展示内容は東京展とほぼ同じで動物や鳥などの生き物を描いた作品がほとんどだが、今展ではサイロのある風景の新作も1点発表された。小さな置物のディスプレイにまぎれ、飾り棚に猫が座り込む《五月山トリックスター》や、供物の果物を載せた高杯の隣に柴犬が立つ《お摩り犬》といった、栗田ならではの不思議なシチュエーションとタイトルの作品は特に印象を引きずり記憶に残る。色の濃淡や構図にリズムが感じられるせいか、コラージュ作品のようにいくつもの時間が画面に混在する絶妙な雰囲気も魅力的。今回も何気ない日常の光景を思わせる題材ばかり。数もそれほど多くはなかったが、全体にインパクトは強く作家のセンスの力を後になって思い知った。


展示風景


2014/06/16(月)(酒井千穂)

2014年07月15日号の
artscapeレビュー