artscapeレビュー

IMARI/伊万里 ヨーロッパの宮殿を飾った日本磁器

2014年09月01日号

会期:2014/08/16~2014/11/30

大阪市立東洋陶磁美術館[大阪府]

17世紀に現在の佐賀県有田市一帯で製作され、伊万里港から海外に輸出された伊万里焼。当時、ヨーロッパの王侯貴族から熱狂的に愛好されたそれらの品々を、大阪市立東洋陶磁美術館の館蔵品を中心とする約190点で展観している。展示は、冒頭部分にヨーロッパの宮廷を意識したコーナーがあったものの、ほかはほぼ年代順に構成。青一色の染付が色絵に発展し、遂には金襴手という豪華絢爛な様式に至る過程が、わかりやすく紹介されていた。伊万里焼は中国・景徳鎮のコピーとしてスタートし、中国が一時的に貿易を止めた時期に海外市場を獲得した。それらは純然たる商品として大量生産され、顧客の物見に応じてデザインや色合いを変化させている。また後年には、市場に復帰した本家・中国と激烈な競争を行ない、最終的には敗退している。その姿は現在のメーカーとほぼ同じであり、400年前もいまも日本人は変わらないのだなあと思った。美術品としてだけでなく、産業史としても楽しめるのが本展の魅力である。

2014/08/15(金)(小吹隆文)

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