2021年09月15日号
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artscapeレビュー

山内陸平『20世紀の椅子たち──椅子をめぐる近代デザイン史』

2014年09月01日号

発行所:彰国社
発行日:2013年01月10日
価格:3,500円(税別)
サイズ:A5判、415頁

60年代半ばの米国・イリノイ工科大学大学院でデザインを学び、ジョージ・ネルソン事務所に入所、ハーマンミラー社のプロジェクトに関わった著者による、近現代を代表する椅子を解説した書。本書は、20世紀の椅子の辞書としても構想され、デザイン史上/デザイン思潮上に意義をもつ椅子、シェーカーの椅子からフィリップ・スタルク、ロン・アラッドの椅子まで99点が選択されている。取り上げられる椅子の概説と理解を助ける多数の図版、その後にエッセイが付された二段構成で、読者を飽きさせない。おりしもミッド・センチュリーブームの最中であるが、ネルソンやチャールズ・イームズらが活躍したその時代に、当地でデザイン実践を経験した著者ならではの椅子に対する熱い情熱と知識が随所に感じられる。印象に残るのは、次の一節。「ミッドセンチュリーという時期に、アメリカの公共用家具にどうしてこれほどモダンなものが誕生したのかについて、多くの識者は個々の「デザイン力」を挙げてきた。が違う。(…中略…)ハーマンミラーとノールの両社は製品企画から製造、販売促進など広告からショールームの運営など企業経営の多くのレベルで、デザインを最大の経営資源として生かした見事な「デザインマネジメント」を展開した結果である」。山内自身の経験に裏打ちされた記述には、強い説得力がある。目を見開かされる一冊。[竹内有子]

2014/08/14(木)(SYNK)

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