artscapeレビュー
《ところミュージアム大三島》ほか
2016年07月15日号
[愛媛県]
竣工:2003年
松山へ。5月に高知でお会いしたJIAの武智和臣さん、中尾忍さんの取り計らいで、《伊東豊雄建築ミュージアム》にて、ミニレクチャーと交流会を行なう。ここでは《シルバーハット》の空間を体験できるが、東京に比べて、建築の軽やかさが、さらに開放的になって、海と山の絶景と対峙している。そして多面体の空間が連鎖する《スチールハット》では、伊東らの大三島での取り組みを紹介する新しい展示が、ちょうど設営中だった。
山本英明が設計した《ところミュージアム大三島》が、これに隣接する。斜面に沿った2枚のコンクリートの壁に挟まれたエリアが美術館だ。上部は間伐材のヴォールトに白い膜の屋根を架け、道路側から内部に入り、展示室を降りて、一番下の端部は海に向かってテラスを突き出し、シャッターで開閉を行なう。これも恵まれたロケーションを生かした半屋外の建築になっている。また近郊には伊東豊雄の設計による《今治市岩田健母と子のミュージアム》もある。廃校と海に隣接し、ぐるっと円を描くコンクリートの壁だけで空間をつくり、その内部に彫刻群を設置する。ほとんど外部であり、大きく大きく青い空が頭上に広がって見える気持ちのよい場所だ。帰りには巨木のある大山祇神社に立ち寄ることもできた。
写真:左=上から、シルバーハット、スチールハット、《今治市岩田健母と子のミュージアム》 右=上から、シルバーハット、《ところミュージアム大三島》、大山祇神社
2016/06/18(土)(五十嵐太郎)