artscapeレビュー
狩野岳朗個展 分岐する思考
2017年06月01日号
会期:2017/05/06~2017/05/20
hitoto[大阪府]
本展を一言で説明すると「気持ちのいい絵画展」になろうか。作品は抽象画で、乾いた色調の筆跡や刷毛目と、極細の線で構成されている。極細の線は画廊の壁面にも引かれており、線の先には英単語が記されていたので、空間全体でひとつのインスタレーションと見なすべきかもしれない。しかし筆者はその意図を理解できなかったので、単純に絵画展として鑑賞した。画面の線と面と色彩は相互に呼応している。即興なのか、厳密なルールを設定したのかは分からないが、無駄な手がひとつもない優れた画面構成だ。それでいて適度に力が抜けていて、観客に緊張を強いることもない。つまり「気持ちのいい絵画展」なのである。
2017/05/08(月)(小吹隆文)