artscapeレビュー
カタログ&ブックス | 2020年2月1日号[テーマ:陶芸]
2020年02月01日号
テーマに沿って、アートやデザインにまつわる書籍の購買冊数ランキングをartscape編集部が紹介します。今回のテーマは、「陶芸」。東京・世田谷区の静嘉堂文庫美術館で開催中の「―「鉅鹿」発見100年― 磁州窯と宋のやきもの」展(2020年3月15日まで)や、長野県諏訪市のサンリツ服部美術館「数寄のデザイン」(2020年3月8日まで)、高浜市やきものの里かわら美術館の「やきもの王国 ―中世猿投窯と常滑窯―」展(2020年3月22日まで)など、国内外のうつわや茶道具をテーマにした展覧会が複数開催されているのにちなみ、「陶芸」という言葉に関連する書籍の購買冊数ランキングトップ10をお楽しみください。
「陶芸」関連書籍 購買冊数トップ10
1位:はじめまして、ルート・ブリュック
1940年代から80年代にかけて活躍したフィンランドの陶芸家・アーティスト、ルート・ブリュック。作品を紹介するとともに、その魅力の秘密を、さまざまな分野で活躍するクリエイターたちが語る。本体は背表紙なし糸綴じ。
2位:永遠なれ魯山人 この型破りな才能、後にも先にも見あたらず 北大路魯山人没後60年記念(別冊太陽 日本のこころ)
陶芸、書、絵画、篆刻、漆芸、そして料理と、幅広い芸術分野で卓抜な才能を発揮した総合芸術家・北大路魯山人。彼の作品と彼が遺した言葉を通して、その人生の軌跡を振り返る。北大路魯山人没後60年記念。
3位:天目 てのひらの宇宙(別冊炎芸術)
多くの陶芸家が挑戦する天目。日本の近代巨匠や、注目を浴びている現代作家の作品をはじめ、中国から渡来した天目の名品と種類、今なお謎につつまれているその歴史などを紹介する。『炎芸術』掲載を再編集し書籍化。
4位:炎芸術 見て・買って・作って・陶芸を楽しむ No.137(2019春)特集茶人・千宗屋と現代の茶碗
特集:茶人・千 宗屋と現代の茶碗
現代の陶芸家の多くが最も作りたいものとして「茶碗」を挙げますが、使い手との交流が少なくなり、鑑賞用の存在になってきています。
本特集では、新しい時代の茶の湯を牽引する茶人・千 宗屋氏に現代の茶碗に求めることを語っていただきます。
5位:麗しの酒器 見て・買って楽しむ(別冊炎芸術)
日本の酒文化には、日本独自の「やきもの文化」の伝統が深く根付いている。陶芸家の酒器の魅力を、注目作家・現代作家・巨匠の3つに分けて、それぞれ作家別に紹介する。酒器の楽しみ方、全国ギャラリーガイドも掲載。
6位:日本やきもの史 カラー版 増補新装
縄文時代から平成の現代まで、日本の陶磁・やきものについてのすべてをコンパクトな一冊にまとめた陶芸全史。オールカラーで296点の作品を掲載し、巻末に日本陶磁の技術・様式系統図などの参考資料も付す。
7位:河井寬次郎 京都国立近代美術館所蔵作品集川勝コレクション
「川勝コレクション」として京都国立近代美術館に収蔵されている河井寬次郎の作品425点をオールカラーで収録する。陶芸作品を中心に、初期から最晩年にいたるまでの代表的な作品を網羅。河井寬次郎年譜も掲載。
8位:陶工房 No.93(2019)器の見どころがわかる陶芸の教科書(SEIBUNDOmook)
特集:器の見どころがわかる 陶芸の教科書
お気に入りの器を「知る」「買う」「作る」ために必要なことを、ぎゅっと凝縮して7つのレクチャーに仕立てました。
はじめて作家ものを買いに行く人も、目利き道を極めたい人も、器つくりをより深化させたい人も、知っておくと役に立つ知識をまとめた「教科書」です。
本号を読めば、改めて陶芸の魅力にふれることができる、そんな内容の大特集になっています!
9位:井戸茶碗の真実 いま明かされる日韓陶芸史最大のミステリー
日本では国宝ともなった茶碗の王者・井戸茶碗は、原産地・朝鮮ではどんな器だったのか? 土と炎を熟知した韓国人陶芸家が、製作時期、場所、用途など多角的なアプローチから謎の名碗の真実に迫る。訳者による現地訪問記付き。
10位:炎芸術 見て・買って・作って・陶芸を楽しむ No.140(2019冬) 特集女性陶芸家の瑞々しい力
特集 女性陶芸家の瑞々しい力
●巻頭インタビュー 小川待子の芸術
●4つのキーワードで読み解く女性陶芸家の表現
●女性陶芸家の歴史と未来
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artscape編集部のランキング解説
「陶芸」と聞くと日本の伝統的な焼きものやうつわをイメージしがちですが、今回のランキングの1位に輝いたのはフィンランドの陶芸家ルート・ブリュックを紹介する一冊。昨年4月から東京ステーションギャラリーを皮切りに巡回中の「ルート・ブリュック 蝶の軌跡」展(今年4月からは岐阜県現代陶芸美術館、7月からは久留米市美術館に巡回予定)に先駆けて刊行されたもので、皆川明や志村ふくみ、酒井駒子といった現代を生きるクリエイターたちによる寄稿など、読みものとしても充実の内容です。
2位以降は、北大路魯山人や河井寬次郎といった著名な作家の仕事をまとめたビジュアルブックが目立つ一方、陶芸の入門書的なアプローチの本も複数ランクインし、鑑賞のコツや歴史を知りたい!という人が多いのがうかがえます。
ランク外では、16位に『噓八百』(今井雅子著、2018年1月公開の同名映画のノベライズ)や、20位に『フレア 連続テレビ小説スカーレット ボーカル&ピアノ ピアノ・ソロ 女声三部合唱(NHK出版オリジナル楽譜シリーズ)』など、陶芸を題材にした映画・ドラマの関連書籍も。私たちの生活とも切り離せないところにある芸術ジャンルだからこそ、陶芸は素朴な関心を集め続けているのかもしれません。あなたもお気に入りの一冊を見つけてみてください。
2020/02/03(月)(artscape編集部)