artscapeレビュー

薮内一実 展

2009年10月01日号

会期:2009/08/31~2009/09/12

信濃橋画廊[大阪府]

壁面に掛けられたシャープな造形物には、小さな台座のような空間があり、機械部品がちょこんと置かれている。サイズは決して大きくないが、まるでそれ自体が一つの風景、もしくは舞台セットのようだ。見る者の想像力を刺激して、ひとつの世界を構築させる力を持っているのだろう。制作にあたっては、電気屋街などでの機械部品との出合いが重要らしい。機械部品を眺めるうち、背後の形が見えてくるそうだ。白いシャープなフォルムの立体は一見石膏に見えるが、実はセメントで作られている。石膏だと望む質感が出ないらしい。独特の色むらと、ところどころに見受けられる崩落の痕跡が、作品にある種の余情を与えている。

2009/08/31(月)(小吹隆文)

2009年10月01日号の
artscapeレビュー