artscapeレビュー
やなぎみわ 婆々娘々!
2009年10月01日号
会期:2009/06/20~2009/09/23
国立国際美術館[大阪府]
第53回ヴェネツィア・ビエンナーレの日本館代表として参加している、やなぎみわの個展。《マイ・グランドマザーズ》の全26点をはじめ、《フェアリー・テール》、そしてヴェネツィアで披露している最新作《ウィンドスウェプト・ウィメン》が展示された。3つのシリーズごとに空間を明確に区別して、それぞれの空間の明るさにメリハリをつけた展示構成が、うまい。カラフルな色合いが多い《マイ・グランドマザーズ》の明るい空間にはじまり、モノクロの《フェアリー・テール》は一転してブラックキューブに、そして同じくモノクロの《ウィンドスウェプト・ウィメン》はほのかに明るく、適度に暗いという微妙な空間で発表されたため、知らず知らずのうちに、鑑賞者はやなぎが物語る想像世界にどっぷりはまっていく。新作の《ウィンドスウェプト・ウィメン》は、荒野で激しく踊り狂う、文字どおり垂乳根の女たちを写しているが、背景の山脈や足元の樹木と見比べてみると、彼女たちが山をも一跨ぎにするほどの超巨大なサイズであることに気づかされる。重厚なフォトフレームをはみ出さんばかりの勢いだ。マザコンだとかなんとかいっている暇を与えないほど、バカバカしくも圧倒的な母性の叛乱が、爽快である。
2009/09/06(日)(福住廉)