artscapeレビュー

森村泰昌展 魔舞裸華視

2009年10月01日号

会期:2009/08/28~2009/10/03

epSITE GALLERY 1[東京都]

森村泰昌の新作展。フリーダ・カーロに扮したセルフ・ポートレイトのほか、掛け軸、屏風、絵巻なども発表した。タイトルの「魔舞裸華視」とは「まぜこぜにする」という意味の「まぶす」から転じた造語らしいが、出品されたのはたしかにメキシコ的な世界と日本的な世界が混合した作品ばかり。セルフ・ポートレイトはフリーダ・カーロに変装しているという点ではメキシコ的であるものの、そのフレームはパチンコ屋の店頭に立ち並ぶ花輪のように装飾されているし、掛け軸の背後の壁紙にプリントされている図柄は金平糖で覆われた頭蓋骨だ。このシャレコウベは、一見するとデミアン・ハーストのダイヤモンドを散りばめた頭蓋骨にたいする、いかにも森村流のパロディとも読み取れるが、じっさいはシャレコウベのかたちのメキシコの砂糖菓子だろう。メキシコの歴史と分かちがたく結ばれた「哀しき玩具」が、日本的な掛け軸や屏風と掛け合わせられているわけだが、その「まぶらかし」という構えこそ、じつは日本的だったのだ。

2009/09/14(月)(福住廉)

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