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2013年03月15日号のレビュー/プレビュー

トウキョウ建築コレクション2013

会期:2013/02/26~2013/03/03

代官山ヒルサイドテラス[東京都]

トウキョウ建築コレクションへ。以前、東北大学の五十嵐研究室ではデザイン系の活動を紹介する年報「トンチク」をプロジェクト展に出品したが、実際に代官山ヒルサイドテラスでの展示を見るのは初めてだ。今回は研究室のアーカイブ本を出品し、併せて幾つかの書籍プロジェクトの実物を展示した。会場で他の出品作と比べると、やはりうちだけが南相馬の仮設住宅地や窓学のリサーチなど、多数のプロジェクトを本という形式で紹介するメタ・プロジェクトだった。また書籍ゆえに、実物を会場に置くことができたのも、うちだけである。ともあれ、全体として論文展やプロジェクト展は、なかなか展示の方法が難しいことがよくわかる。現状がベストではないことはわかるのだけど、どう見せたらよいかを考えさせられる。なお、修士設計の展示も、明快なアイデアで一点突破する卒計的なものは伝わりやすいが、部厚いリサーチ・ベースの作品はやはりわかりにくい。

2013/02/28(木)(五十嵐太郎)

ポール・デルヴォー展  夢をめぐる旅

会期:2013/01/22~2013/03/24

埼玉県立近代美術館 2F[埼玉県]

埼玉県立近代美術館のポール・デルヴォー展「夢をめぐる旅」を鑑賞した。展示では、女性、建築、鉄道、小物などのキーワードを掲げながら、彼の絵画に頻出する主要なモチーフを読み解く。やはり、絵はちょっと硬い。それにしても、彼は生涯飽きることなく、シュルレアリスム的な雰囲気で、古典主義の建築を背景とした裸の女性の絵を描いてきたわけだが、会場では、彼がまだ「デルヴォー」になっていない初期の作品と、視力をほとんど失った晩年の「デルヴォー」的ではない作品も見ることができたのが興味深い。

2013/02/28(木)(五十嵐太郎)

阿佐ヶ谷美術専門学校卒業・修了制作展2013

会期:2013/02/21~2013/02/25

BankARTスタジオNYK[神奈川県]

阿佐ヶ谷は美大以上にいい先生がそろってるので卒展も期待できそうだが、大半がデザイン科。しかもイメージクリエイション科、視覚デザイン科、メディアデザイン科などに分かれ、それぞれ20~30人生徒がいるのに、絵画表現科はわずか4人だけ。そのため会場の隅の一画に追いやられていた。しかし少数精鋭というか、さすがに4人とも三流美大生よりレベルは上だが、突出したものがなくドングリの背比べ。おっと、菊村詩織が一馬身リードか。競馬じゃないって。

2013/02/28(木)(村田真)

プレビュー:開館50周年記念特別展「交差する表現 工芸/デザイン/総合芸術」

会期:2013/03/16~2013/05/06

京都国立近代美術館[京都府]

1963年の開館以来、美術館活動の柱となってきた「工芸」に焦点をあて、そのコレクションを軸に館のあゆみを回顧するという特別展。展覧会は、「工芸」の多様性や作品の表現そのものに注目し、伝統や東西交流、デザインの問題などを取り上げた第I部、そのコレクションから代表作を紹介する第II部のふたつで構成される。陶芸、漆、木工、竹工、着物などの染織のほか、ガラス、ジュエリーなどの作品も数多く収蔵する美術館。当館が収集してきた「工芸」作品の守備範囲の広さとそのとらえかたにも注目したい。

2013/03/14(木)(酒井千穂)

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プレビュー:吉田重信キュレーション「氣韻」展

会期:2013/03/12~2013/03/24

KUNST ARZT、ギャラリー・アーティスロング[京都府]

東日本大震災からまる2年の、3月12日から2会場で同時開催される。出品作家は、吉田重信、東郷幸夫、田中健作、本田健、小板橋弘、君平、笠原美希、岡本光博、大江司、井出創太郎、石川貞治、青山ひろゆき、青木聖吾の13名。東北や関東を含む地域から7名が参加している今展、タイトルの「氣韻(きいん)」も念頭において鑑賞したい。3月23日(土)には岡本康明(京都造形芸術大学芸術館館長)と出品アーティストによるトークも開催される。
KUNST ARZT=http://kunstarzt.com/top/top.htm
ギャラリー・アーティスロング=http://artislong.info/

2013/03/14(木)(酒井千穂)

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