artscapeレビュー
青木恵美子 展──沈黙の終わりに
2012年05月15日号
会期:2012/04/09~2012/04/14
藍画廊[東京都]
大作絵画数点の展示。どれも画面の8割方が赤く塗られ、下方からはニュアンスに富んだ青や緑が滲出している。逆に大半が青く、下端だけ赤かったら風景を予想できるが、これはなにものも予想できず、抽象と呼ぶしかない。作品そのものは2月に名古屋の「アーツチャレンジ2012」でも見たが、このように同系色の絵を壁も床も天井も真っ白い空間に置くと、とてもよく映える。絵画はいつ、どこに、どのように展示しても絵画そのもの(内容)は変わらないが、見え方は大きく変わることがある。そのため晩年のマーク・ロスコはうるさいほど展示に口をはさんだという。これはもはや展示の域を超えた「絵画のインスタレーション」と呼ぶべき事態だろう。青木も絵の内容と同等のエネルギーをインスタレーションに注げば、新しい地平が開けるかも。
2012/04/10(土)(村田真)