artscapeレビュー

大友良英 with 二階堂和美ライブ

2012年05月15日号

会期:2012/04/15

万代島旧水揚場[新潟県]

7月から新潟市で始まる「水と土の芸術祭2012」のプレイベント。まずは信濃川の河川敷に完成した王文志(ワン・ウェンチー)による竹のドームを見に行く。これは3年前、やはり河川敷につくられたインスタレーションをヴァージョンアップしたもので、なかに入ると意外に広々としていてくつろげるうえ、竹の隙間から周囲の風景が透けて見えるというスグレもの。前回は市民の憩いの場としても人気を博したため、芸術祭に先行して制作してもらったという。そこから下流に15分ほど歩いて、ライブ会場となる万代島の旧水揚げ場へ。かつて漁獲物を水揚げした場所で、ガランとした巨大な空間は現在なにも使われておらず、芸術祭の展示のメイン会場になる予定だ。ライブは川(入江)に面した開口部にステージを設けたため、光を背にした逆光のなかで行なわれた。そのため客席からは大友も二階堂も顔の表情がほとんど読みとれないかわりに、向こう岸の倉庫や行き交う船や舞い飛ぶカモメを見ながらのライブ体験となった。おまけに漁船のエンジン音や「アーアー」というカモメの鳴き声も聞こえてきて、ふつうのコンサートならぶち壊しになるところを、自然体の大友と二階堂はそれを効果音として受け入れていたのはさすが。ちょっと寒かったけど、ライブは暖かかった。

2012/04/15(日)(村田真)

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