artscapeレビュー

吉田夏奈 展

2012年05月15日号

会期:2012/04/02~2012/04/25

LIXILギャラリー[東京都]

ギャラリー中央に巨大な歪んだ楕円形のテーブルが置かれ、その表面に中心に行くほど濃い青が塗られ、端には緑が配されている。初め湖の地図かと思ったら、魚眼レンズで下からのぞいた山々の風景だった。かたわらには一辺が1メートル足らずの立方体が置かれ、上面を含めた5面にびっしりと樹木が描かれている。つまりこれ、森の立体絵。壁のコーナーには左右3枚ずつ計6枚のパネルにこんもりとした森の絵が。昨年、東京オペラシティのプロジェクトNに壁面いっぱいの絵を出していた人だ。この人のこだわりは、山や森のイメージを決して「1枚の絵」に収めないことだ。山も森も1枚に収められるほどケチなものではないと考えているのかもしれない。でも一歩間違えるとトリックアートに。

2012/04/12(木)(村田真)

2012年05月15日号の
artscapeレビュー