artscapeレビュー
KATAGAMI Style 世界が恋した日本のデザイン もう一つのジャポニスム
2012年08月01日号
会期:2012/07/07~2012/08/19
京都国立近代美術館[京都府]
本展は、染色で模様を染める際に用いられる型紙が、欧米でどのように受容され展開したかを探るもの。約400点にも及ぶ膨大な展示品と、約3年間にわたる綿密な調査に基づく、ヘビー級の内容を持つ展覧会だった。展示品は、型紙や衣裳、見本帳に始まり、陶器、ガラス、壁紙、家具、ポスターなど多岐にわたる。つまり、染色展ではなく総合的なデザイン展である。事実、欧米諸国が布地ではなく型紙を欲したのは、未知のデザインソースに対する関心からだという。ヨーロッパ諸国での受容の差異も興味深く、英国では産業主導だったのに対し、フランスでは美術家や工芸家が率先したという。また、日本とほぼ同時期に統一国家が形成されたドイツでは型紙がデザインの教材として受容されたそうだ。今までジャポニスムといえば、浮世絵や陶磁器ぐらいしか思い浮かばなかったが、実は型紙こそがジャポニスムの中核だったのかもしれない。
2012/07/06(金)(小吹隆文)
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