artscapeレビュー
作田富幸 展
2012年08月01日号
会期:2012/07/13~2012/07/29
アートゾーン神楽岡[京都府]
作田は銅版画家で、主に首都圏で活動している。彼の主題は「人間」もしくは「人間の顔」で、私は本展で初めて彼の作品を見た。出品作品のメインは《20 visitors》と題された全身像のシリーズと、《100 faces》と題された9点組の大作である。後者は、はがき大の小品100枚を制作し、36点貼り付けたパネルを1ピースとするもの。うち4ピースには手彩色が施されている。人間を描くといっても、作田は具象作家ではない。大木の枝が顔になったり、全身が引き出しだらけ、眼だらけなど、どの作品も異形の姿をしているのだ。それらを見て、ボッシュやアルチンボルドの作品を連想する人もいるだろう。あらゆる形態やモチーフをも使って人間を描き切ろうとするその姿勢には、凄みすら感じられる。
2012/07/17(火)(小吹隆文)