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川内倫子 展 照度 あめつち 影を見る

2012年08月01日号

会期:2012/05/12~2012/07/16

東京都写真美術館[東京都]

川内倫子の写真展。70点あまりの写真のほか、映像作品も発表された。凡庸な日常風景を美しくとらえる色彩と構図、そして光。川内ならではの鋭利な感覚を存分に楽しめる展示だったが、今回改めて思い知ったのは、川内の写真がすぐれて絵画的であること。対象をフレームに収める構図はもちろん、光と色彩の調和など、それは写真でありながら同時に絵画のように見える。阿蘇の野焼きをとらえた《あめつち》シリーズの映像作品ですら、色面分割された熊谷守一の絵画のように見えてならない。かつて美術評論家の中原佑介は現代美術の大きな特徴として「メディアの転換」を挙げたが(『現代芸術入門』)、川内倫子は絵画の特質を写真に移し替えたのではないだろうか。もしかしたら絵画の窮状を写真によって救済しているのかもしれない。

2012/07/11(水)(福住廉)

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