artscapeレビュー
宮永愛子「なかそら──空中空」
2012年12月15日号
会期:2012/10/13~2012/12/24
国立国際美術館[大阪府]
長さ20メートルはあろうかという透明アクリルケースに、コップや缶、本、洗濯バサミ、ジグソーパズルが置かれ、表面が白い霜のようなものでおおわれている。が、霜ではなくナフタリンだという。「世界はいつも変わり続けている」という彼女の世界観をかたちにするため、常温で昇華するナフタリンを用いる。変わり続ける世界を作品として提示するのに美術ほど向いてないジャンルもないと思うが、そのチャレンジャブルな姿勢は買おう。でも、別の暗い展示室に白い柱やハシゴを何本も立て、アクリルケースのなかにナフタリンの蝶を展示しているインスタレーションを見ると、なんでこんな舞台設定が必要なのか首を傾げてしまう。とくに隣では石っころを置いただけみたいな「もの派」を中心とするコレクション展が開かれているせいもあって、よけい細工が気になる。と思ったら、最後の部屋にはキンモクセイの葉脈をつないで巨大なタタミイワシ状にした作品が、天井から床にかけてタランと横たわっていて、なぜかひと安心した。
2012/11/02(金)(村田真)