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山口晃・襖絵奉納記念「重要文化財養林庵書院」特別公開
2012年12月15日号
会期:2012/11/03~2012/12/02
平等院養林庵書院[京都府]
通常は非公開の平等院養林庵書院へ。山口晃の襖絵の奉納にあたり、土曜と日曜のみ特別公開されていた。襖絵は、来迎図のスタイルで、蒸気機関車に乗って極楽浄土に向かう人々(死者)の情景が描かれたもの。三両編成の車両の乗り込み口には上品・中品・下品の文字が記されており、それに乗り込む人々の様子や、機関車に乗れず徒歩で向かっている人の姿も描かれていた。機関車の向かう先には京都タワーと京都駅。ユーモアの細やかさも構図の面白さもさすが!と思わされる作品。隣室に続く襖には平等院の藤棚に見立てて「南無阿弥陀仏」の文字が書き連ねられた襖絵が。この襖を開けたときに射し込む光は、浄土へ向かう人々を導く「白道」(浄土宗などで、極楽浄土に通じる白い道とされるもの)に見立てられているのだそう。襖絵もだが空間の構成も凄い。見ることができてよかった。
2012/12/02(日)(酒井千穂)
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