artscapeレビュー

しまだそう個展「0≒Be式」

2012年12月15日号

会期:2012/11/10~2012/11/22

コンテンポラリーアートギャラリーZone[大阪府]

精力的に作品を発表しつづけている作家のしまだそうが、またユニークな場所で個展を開いていた。会場は大阪府箕面市の阪急桜井市場の中にあるギャラリー。私は初めて訪れたのだが、まさか本当に「市場」の真ん中にあるスペースだとは思ってもいなかったので行ってみて吃驚! 私が訪ねたときは、この古いアーケードの半分くらいの店舗はシャッターを下ろしていて、ややうら寂しい印象もあったのだが、通路には買い物客の姿もちらほら見られた。ギャラリーは壁も入口のドアもないほとんどオープンなスペースで、アーケードの通路からも展示の様子がうかがえる。大きな絵画作品には、人物や怪獣、マンガに見られる音喩表現、記号的な図形など、雑多なものごとが秩序なく、鮮やかな色彩で描かれていた。この場の雰囲気にもよく似合っていたが、そんな空間で眺めていると彼の絵画世界が空想の物語や非日常的イメージなどというよりも、むしろ日常感として共感できる世界に思われて面白かった。


市場の中にあるギャラリースペース


会場風景

2012/11/22(木)(酒井千穂)

2012年12月15日号の
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