artscapeレビュー
久保昌由「鉛筆画展」
2012年12月15日号
会期:2012/11/12~2012/12/01
GALLERY wks.[大阪府]
久保昌由は以前はペインティングの作品を発表していたが、近年より鉛筆画の作品に取り組んでいるのだそう。今回は3年ぶりの個展になった。会場には、タンポポの花が綿毛に変わるまでを描いた連作や、穏やかな水面に小舟の浮かぶ風景を描いたシリーズなど、32点の鉛筆画が展示されていた。繊細で精緻に描かれた作品はどれも美しく、じつに目を見張るようなのだが、ただその驚きは、テクニックに圧倒されるというようなものではなかった。久保の鉛筆画からは、霧のような気配に覆われた重たい空気の感触も受ける。心の深淵を描こうとしているような、静謐な世界が印象的な個展だった。
2012/12/01(土)(酒井千穂)