artscapeレビュー
志賀理江子「螺旋海岸」
2012年12月15日号
会期:2012/11/07~2013/01/14
志賀理江子の「螺旋海岸」展を見る。いや「見る」というより、会場をずっとぐるぐるとさまよう「運動」だった。始まりもなく、終わりもなく。ぐるぐると。そして写真とまなざしをめぐる問いかけを反芻する。モノとして林立する大小の写真は、さまざまなまなざしが交錯する彼岸のランドスケープのようでもあり、彼女の頭のなかに入ったような不思議な記憶の体験だった。チューブがもたらす波紋としてのせんだいメディアテークの空間と、大きな渦を巻く写真の群れが響きあう。これまでに見たメディアテークの展覧会で、もっともダイナミックに建築と格闘し、素晴らしい成果をもたらしている。壁は一切ない。ゆえに、そのまま外光も射し込む。日没後は光の具合が違う。
2012/11/08(木)(五十嵐太郎)
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